ミレーナとは
ミレーナとは子宮内に装着するもので、「レボノルゲストレル」という黄体ホルモンを体の中で放出し続ける薬剤除法システムのことです。
日本では「過多月経」「月経困難症」の治療として保険適用となっています。
ミレーナの避妊率や
効果とは!?
ミレーナを装着することで、常にレボノルゲストレルが放出された状態となり、子宮内膜が増殖しないために着床を防ぐ効果が持続します。
そのためピルやコンドームに比べても高い避妊効果を得る事が可能です。
ミレーナは避妊だけじゃない
過多月経・月経困難症にも効果的
また、ミレーナには月経に関連する症状にも高い効果を発揮します。
レボノルゲストレルの効果により、子宮内膜が薄くなれば経血量が減少します。
そのため、過多月経や月経困難症の方にも非常に有用な手段として広く用いられています。
特に子宮内膜症による過多月経に効果がある
ミレーナで特に効果が期待できるのが、子宮内膜症による過多月経です。
子宮内膜の増殖を抑える作用があるため、子宮内膜が薄くなり、月経量を減少させることができるようになります。
そのほか、子宮筋腫、異形成のない子宮内膜増殖症、原因不明の過多月経にも効果が期待できます。
ミレーナの
メリット・デメリット
メリット
- 過多月経、月経困難症の症状緩和
- 最長5年の避妊効果が継続的に得られる
- 血栓症のリスクが低い
- 妊娠を希望する場合は、取り外しが可能
デメリット
- 安全のため定期検診が必要です
- 自然に抜け落ちてしまう可能性があります(頻度は稀)
- 出産経験がない方は、別途子宮頸管を広げる処置が必要になる可能性があります
ミレーナの挿入後の副作用
- 月経周期の変化
- 月経出血日数の延長
- 不正出血
- お腹の痛み
- 卵巣嚢胞のリスク
これら以外にも重大な副作用として、骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、子宮穿孔、卵巣嚢胞破裂が報告されています。
またミレーナ挿入直後では、出血、下腹部痛、おりものの増加がよくみられますが、半年程度で徐々になくなっていくと言われています。
ミレーナを装着すると
どうなるの
ミレーナを装着することで持続的に黄体ホルモンが分泌され続け、子宮内膜の増殖が抑制、経血量の減少、また高い避妊効果を得ることが可能となります。
ミレーナの装着に適する場合
- 月経困難症、過多月経に悩んでいる方
- 血栓症や喫煙などのリスクにより低用量ピルの適応とならない方
- コンドーム以外の避妊方法を選択したい方
※このうち月経困難症、過多月経と診断がついた場合では、ミレーナは保険適用となります
ミレーナの装着に適しない場合
- ミレーナ自体にアレルギーがある方
- 不正出血がある方
- 妊娠の可能性がある方
- 性感染症の方
- 過去3ヶ月以内に性感染症に罹った方
- 子宮内膜炎、卵管炎の方
- 過去3ヶ月以内に感染性流産または分娩後子宮内膜炎になった方
- 子宮外妊娠の既往歴がある方
- 重度の肝機能異常、肝腫瘍がある方
- 骨盤内炎症性疾患がある方
- 腟炎、子宮頸管炎がある方
- がん、黄体ホルモン依存性腫瘍の方
- 子宮の位置や形に異常があると診断された事がある方
- 避妊リングを使用した時に、痛みを訴えたことがある方
ミレーナとピルの違い
ミレーナ
- 薬剤の作用が子宮に限定される
- 卵巣の働きは妨げず、通常通り排卵がある
- 血栓症のリスクが低い
- 体調への影響が少ない
- 最長5年効果が持続するため、トータルコストが安い
ミレーナ装着までの流れ
1問診・診察
重要な事項のため、出産経験の有無や既往歴などもお尋ねします。
2施術
内診台に座っていただき、子宮の入り口からゆっくりと挿入していきます。 通常であれば数分で施術は終了となります。
※出産経験のない方では、別途子宮頸管の拡張を行う場合がございます
3定期検診
1年間問題なく経過したら、その後は1年おきの定期検診となります。
ミレーナの費用
項目 | 費用 |
---|---|
ミレーナ挿入 | 【自費の場合】 71,500円(税込) 【3割負担の場合】 約10,000円 |
ミレーナ除去 | 【自費の場合】 11,000円(税込) 【3割負担の場合】 約1,000円 |
ミレーナのQ&A
ミレーナ装着時の痛みはありますか?また抜くのは簡単ですか?
出産経験がある方であれば子宮口が広がっているので、ほとんど痛みを感じることはありません。
一方出産経験がない場合はやや痛みを感じる事があります。しかし麻酔は必要となるほどではありません(麻酔を希望される方はご相談ください)。
抜去する際は、ミレーナには抜去用の膣内リリース糸がついているので比較的簡単に抜くことができます。
しかし専門の婦人科でないと抜去はできません。
どれくらいの避妊効果がありますか?
低用量ピルと同程度の避妊効果があるとされています。
最長5年間の効果が持続する特徴があります。
副作用はどのようなものがありますか?
ミレーナ挿入後数日間は、出血、下腹部の痛み、腰痛、おりものなどの症状が発現しやすいです。
また3ヶ月程度は不正出血が起きる可能性がありますが、徐々に症状はなくなっていきます。
その他の副作用としては、月経異常、卵巣嚢胞、月経期間延長、腹痛が報告されています。
ミレーナは保険適用ですか?
「過多月経」「月経困難症」の診断が下された場合には、保険適用での治療が可能となります。
しかし避妊目的の場合は適応外となり、自費診療での装着となります。
子宮筋腫なのですが装着は可能ですか?
生理痛や過多月経の原因として子宮筋腫はよく知られています。
子宮筋腫が粘膜下に存在するケースでは、ミレーナを装着することで出血が続いたり、大量出血したり、ミレーナが自然に抜け落ちる危険があるのでおすすめできません。
その他の場所に筋腫がある場合、禁忌ではありませんが、装着後も安全のために慎重に経過を見続けていく必要があります。